山本さん、大下さん、そして10分の1の大和の建造に関わった多くの人には、ある共通の思いがある。 「正直なところ、最初は苦労ばかりが多い辛い仕事でしかなかったんです。けれど、テレビの取材で大和の 乗組員や遺族の方がみえた時のこと。そこには生きて帰ってきたけれど生きていることが恥ずかしい、亡くな った人に申し訳ないと泣き崩れる元乗組員の方の姿がありました。この人たちのために何かをしたいという気 持ちが芽生えたんです。そのころから、みんなの意気込みが格段に違ってきました。今だからこそ、当時の 人々の魂、気質、人生観を学ぶべきなんじゃないか、10分の1の大和がそのきっかけになればいい。その気 持ちがなかったら、もしかすると完成していなかったかもしれません」 と山本さん。 大和ミュージアムにしゃく泰然とたたずむ大和は、多くの人々のさまざまな思いを乗せて、過去から現在へ、 そして未来へと航海を続けているようだ。